機械麺・手打ち麺・手延べ麺とは
参考文献:新訂 めんの本 より一部引用
著者 農学博士 織田聞多 氏
麺には「機械麺」「手打ち麺」「手延べ麺」があります。
「機械麺」とは、押圧して平板状にし、線切りする方法は手打ちと同じですが、対の回転ロールの間に生地を通して圧延し、切刃ロールで切るのが一般的です。製造のライン化がしやすく大量生産に向くので、今日売られている麺の多くはこの製法で作られています。
インスタントラーメンをはじめ、素麺・そば・うどんなど、多種多様な機械麺が普及しております。
「手打ち麺」とは、そばやうどんの店で大将が生地を麺棒で延ばし、それをたたんで包丁を入れていくという、押圧して平板状にし線切りする方法で、麺棒を使って生地を手で延ばし包丁で切るので手打ちと言われています。
手延べと手打ちを混同される方もいますが、原則として乾麺にする「手延べ」と、生めんを茹でて食べる「手打ち」という本質的な違いがあります。
手延べと手打ちの食感は異なりますが、それぞれ広く受け入れられています。
そして「手延べ麺」は、小麦粉に食塩と水を混ぜてよく練り、食用植物油を塗って、縒(より)をかけながら引き伸ばしと熟成を何度も繰り返し、乾燥させるという手法で作った麺を言います。手打ち麺や機械麺は、生地を麺棒などで薄く延ばし、包丁で麺の形に切って作りますが、手延べ麺は、生地をねじりながら編み込むように延ばしていきます。
『途中で切らない』そして『何度も熟成させる』、これが元の長さの約1万倍にも引き延ばされる、グルテンの立体的展開構造を形成するために重要です。細い麺でも強靭で弾力があり、滑らかでのどごしがよく、食感は口当たりが滑らかで柔らかいが、歯応えと弾力があり、歯切れが良いという独特の食感を生み出します。
この食感は手延べ以外では、決して得ることができません。
各工程では専用の機械を使いますが、製造工程は昔ながらのままで、仕上げまでに約35時間かけて丁寧に作られます。
単に「素麺」などと表示された商品には、機械式で作られたものもあります。価格の違い(概ね安価)、麺線の均一性(切断面がきれいな形で揃っている)、食感(グルテン形成が全く違う)が手延べとは大きく異なります。
また、手延べ素麺を作る際の副産物で、棒にかかる曲線部分を「節麺」と言いますが、みそ汁の具などに使われ、商品として販売もされています。
麺匠庵では、主に国内産小麦粉を原材料としてこだわっております。
手延べ製法は太い麺には不向き(硬くなりすぎる)とも言われますが、小麦粉の特徴を知り、使い分けることで麺線に応じた手延べ麺を作ることができます。
あの「美味しんぼ」にも登場したイワン・クレフト教授が工場見学にいらっしゃいました。(「美味しんぼ」23巻)
神戸学院大学栄養学部教授
国際蕎麦学会(IBRA)学会誌編集長 京都大学農学博士 池田清和氏(左)
ソバ育種学の世界的権威
ユーゴスラビア リュブリアナ大学 イワン・クレフト教授(右)